住宅機器メーカーQ社商品開発部

スマートホームに不可欠な各種センサーの電源問題を解決スマートホーム用のセンサーに最適な電源ソースが見つからない…

背景

IoTやAIなどの技術の進展により、室内環境センシングやバイタルセンシング、セキュリティーシステム、スマートメーターなど、生活のサポートを行うスマートホームの実現に期待が高まっている。Q社の商品開発部では、スマートホームの実用化に向けて住宅に設置する各種センサーの取り付け方法を検討することになった。

※富士キメラ総研はスマートホーム関連市場が2025年に4兆240億円に拡大すると予測

課題

センサーの設置には電源の確保が問題に

Q社では当初、住宅に設置するさまざまなセンサーの電源を有線で対応しようと考えていました。ただ、有線にすると壁伝いに配線を這わせることになるので見栄えが悪くなってしまいます。壁の内側に配線を隠すこともできますが、大掛かりな工事が必要となることから、商品開発部では無線での対応も検討しました。しかし、電源に一次電池を使用するとセンサーと電池のユニットが屋内のさまざまな場所(天井・床下・家具への埋め込みなど)に設置されることになり、電池交換の手間だけでなく廃棄などの問題も発生します。あらゆる可能性を検討したところ、環境発電や空間伝送型ワイヤレス電力伝送(WPT)にたどり着きました。

画期的だと思った方法には難題が…

光や振動、温度差など環境の中にあるエネルギーを電力に変えて利用する環境発電や、電波の送受信により電力を伝送するWPTは画期的な無線給電技術です。この技術を使って電源を確保しようと調査を進める中、発電・給電の方法に新たな課題が浮かび上がりました。これらの技術ではμWレベルの微弱な電力しか確保できないため、データを収集・伝送する際に必要な多大な電力を得られないことが分かったのです。これではセンサーを駆動させることは難しいことから、商品開発部のメンバーは頭を抱えてしまいました。

課題のポイント

  • スマートホームに必須のセンサーを住居に取り付けたいが電源の確保に課題がある

  • 無線電源の場合、一次電池を使用すると電池の交換や廃棄などの煩雑な作業が懸念される

  • 環境発電や空間伝送型ワイヤレス電力伝送を採用したいが、微弱な電力しか得られないためセンサーの駆動が困難

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