※心拍数、呼吸数、体温、血中酸素飽和度など
背景
世界中で猛威を振るっているCOVID-19。感染した患者は、症状の変化を把握するためにバイタルデータをモニターすることが推奨されている。しかし、測定のたびに患者には負担がかかり、医療従事者の二次感染リスクも高まる。
こうした状況のもと、大手半導体メーカーのルネサスエレクトロニクス株式会社(以下、ルネサス)は、患者の測定データを遠隔監視できる低コストでスリムな医療用パッチのリファレンスデザインの開発に取り組んでいた。
課題
遠隔監視できるスリムな医療用パッチの開発に着手
ルネサスで開発を進めていた薄型医療用パッチは、額や腕または手首に装着でき、高精度で体温の常時測定が可能となるものです。継続的に体温を監視するため、皮膚に接触するようパッチの背面に体温センサが配置されています。上面に配置したバイオセンシングICに指を置くと、心拍数、呼吸数、血中酸素飽和度などが測定されます。測定データは、無線通信BLE5.0でスマートフォンへ通信することが可能です。
課題は電力供給
しかし、このような医療用パッチの実現には、小型・薄型でセンサや無線通信を駆動できる高出力の電池が必要となります。また、腕を曲げたり、動いたりする人間の体にフィットさせるためには、デバイスの曲げ耐性も不可欠な要素です。さらに、環境に考慮し、再利用できるよう充電可能な二次電池であることも欠かせません。
装着感を感じさせない薄型医療用パッチの実現には、これらの課題をすべて満たす電池が求められていました。
課題のポイント
BLEなどを駆動できる出力を担保したうえで、どれだけ医療用パッチを小型・薄型にできるか
曲げ耐性がないと、体にぴったりフィットしない
使い捨てでは廃棄物処理の問題も起きるため、環境負荷が大きい
12