ルネサスエレクトロニクス株式会社様

スマート農業用環境発電駆動センサシステムを実現センサシステムを安定駆動させるための電源が…

背景

日本は少子高齢化に伴い、農業の省人化・効率化を目的に、「先端技術」を駆使した「スマート農業」の普及が求められている。一例としてセンシングデータなどを活用・解析し、農作物の生育や病害を正確に予測するなどが挙げられる。
こうしたトレンドのもと、大手半導体メーカーのルネサスエレクトロニクス株式会社(以下、ルネサス)は自社製品群を生かしたスマート農業用センサシステムの開発に取り組んでいた。

課題

センサシステムの電源供給の課題を、自社開発のマイコンで見事に解決!

センシングデータを活用するには、農場で自由にセンサを頒布する必要があります。しかし、センサを動かすための電源をどのように供給するかが課題の一つとなっていました。電源ケーブルの敷設は高価であるだけでなく、作業も煩雑になり、一次電池では定期的な交換が必要となります。
そこでルネサスは、独自のSOTB™プロセス技術により超低消費アクティブ電流と超低消費スタンバイ電流の両方を実現する「REマイコン」を使った、環境発電ワイヤレスセンサシステムを開発しました。これにより、環境発電デバイスからの微弱な電力を使って農場の温度・湿度・土壌水分などを測定し、その情報を、無線通信を用いて広範囲に送信することが可能となったのです。

※SOTB™プロセス:SOI (Silicon on Insulator) を使用したルネサス独自のトランジスタ技術。SOTBはルネサスの米国およびその他の国における登録商標です

「スマート農業」の実現には、安定稼働できる蓄電デバイスがない…

環境発電にはもう一つ課題がありました。天候の変化などにより発電量が変動すると、センサシステムの駆動が不安定になってしまうことです。そのため、環境発電から得られた電力を、一時的に貯める蓄電デバイスが必要となりました。当初、キャパシタを考えましたが、自己放電が大きく、電力の長期保存が難しいという欠点がありました。
一方、従来の二次電池は、電力を長期間貯めておけますが、抵抗が高いために出力が小さく無線データ通信を駆動できない・微弱な電力を貯められない・寿命が短い・大量のセンサシステムに実装する時の製造コストが高いという欠点がありました。

「メンテナンスフリーで安定的なスマート農業」の実現には、これらの課題を解決する従来にはない蓄電デバイスが求められていたのです。

課題のポイント

  • 環境発電は、天候の変化などにより発電量が変動してセンサシステムの駆動が不安定に

  • 対応策を考えるも、キャパシタは自己放電が大きく、電力を長期間保存が難しい

  • 従来の二次電池は、電力を長期間貯めておけるが、抵抗が高いために出力が小さく無線データ通信を駆動できない・微弱な電力を貯められない・寿命が短い・大量のセンサシステムに実装する時の製造コストが高いという欠点がある

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