産業用センサーデバイスメーカーR社開発部

建設作業者の体調を、ウエアラブル小型センサーで管理IoTを活用して過酷な建設現場の安全を確保したいが、そこには現場ならではの課題が…

背景

建設現場は他の産業に比べ事故発生率が高い。若年層の就労者数は減少傾向にあり、高齢作業者や未習熟作業者が増加していることが要因である。そのため作業環境の整備と管理が重要となる。
しかし、監督者が全ての作業員を常に管理することは難しい。そこでIoTを活用した作業者の生体情報や作業環境のモニタリング、それを活用した危険予兆・予測が注目されている。作業をしながらモニタリングするために、負担が少ない、作業性を損なわない、不快にならない、使い勝手が良いなどの特性を持つウエアラブル機器の開発はまさにこのニーズに応えるものである。
産業用ウエアラブルデバイスメーカーのR社も、こうしたニーズからウエアラブルセンサーの開発を進めていた。

課題

小型、軽量化のために、コイン型一次電池を検討するも問題が発生

開発部はある問題に悩まされていました。ウエアラブルセンサーユニットを小型、軽量化するために、コイン型一次電池を適用していましたが、使用環境によってはすぐに電池切れを起こすことが分かったのです。電池が切れてしまったら、肝心のデータが取れず、モニタリングすることができません。また、電池切れを起こさず使えるような大型の電池を使った場合、重さがあるため作業者の負担となって作業にも影響が出ることも判明しました。さらに電池の交換や廃棄が必要になるなど、次々と問題が発生したのです。

環境発電を使った給電では、新たな課題が顕在化…

思案した結果、環境発電(色素増感太陽電池)と二次電池の組み合わせで課題を解決できないかという案がでて、早速試作を実施。しかし、環境発電を使った給電ではμWレベルの微弱な電力しか確保できず、センサーの駆動や収集した情報の無線通信を考えると大電流を出力できる二次電池が必要となることが分かりました。
R社には二次電池の知見がこれ以上ないことから、開発はストップしてしまいました。

課題のポイント

  • コイン型一次電池を適用するも、使用環境によってはすぐに電池切れが発生

  • 電池切れしない大型の電池を使った場合、重さがあるため作業者の負担となり、作業に影響が出る

  • 電池交換に手間がかかることに加え、廃棄の問題も発生してしまう

  • 環境発電を使った給電ではμWレベルの微弱な電力しか確保できず、センサーの駆動や収集した情報の無線通信ができない

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